暴行罪とは

暴行罪は、人の身体に対して有形力を行使する犯罪で、韓国刑法第260条に規定されています。ここでいう暴行とは、必ずしも拳を振るったり相手を殴ったりする行為だけを意味するわけではありません。胸ぐらをつかむ行為、物を投げつける行為、唾を吐く行為、髪の毛を切る行為のように、身体に対して直接的・間接的に力を加える行為であれば、幅広く暴行と認められる可能性があります。

日常生活の些細な争いから始まったもみ合いが暴行事件へと発展するケースは少なくありませんが、思った以上に処罰の範囲が広いため、正確な法理を知っておくことが重要です。

暴行罪の成立要件

暴行罪が成立するには、第一に、人の身体に対する有形力の行使がなければなりません。直接身体に接触しなくても、狭い空間で凶器を振り回したり、すぐ隣に物を投げつけたりする行為も有形力の行使と評価される場合があります。

第二に、暴行の故意がなければなりません。相手の身体に有形力を行使するという認識と意思があれば足り、傷害を負わせようとする意図までは必要ありません。誤ってぶつかった場合のように故意がない場合には、暴行罪は成立しません。

暴行罪の類型別の処罰

韓国刑法第260条第1項の単純暴行は、2年以下の懲役、500万ウォン以下の罰金、拘留または科料に処されます。自己または配偶者の直系尊属を暴行した尊属暴行は、同条第2項により5年以下の懲役または700万ウォン以下の罰金へと加重されます。

団体もしくは多数の威力を示し、または危険な物を携帯して暴行した場合には、韓国刑法第261条の特殊暴行にあたり、5年以下の懲役または1千万ウォン以下の罰金に処されます。酒瓶、椅子、ゴルフクラブのような日常的な物であっても、使い方によっては危険な物と評価されうる点に注意が必要です。

暴行によって人が負傷した場合には、韓国刑法第262条の暴行致傷罪が適用され、傷害罪の例に従って処罰されるため、処罰の重さが大きく上がります。

反意思不罰罪にあたるかどうか

単純暴行と尊属暴行は反意思不罰罪(被害者の意思に反して処罰できない罪)であり、被害者が処罰を望まないという意思を明示的に表示すれば、処罰することができません。そのため単純暴行事件では、被害者との円満な示談が事件の終結に決定的な役割を果たします。

ただし特殊暴行と暴行致傷は反意思不罰罪ではないため、示談が成立しても捜査と処罰の手続はそのまま進行します。この場合、示談は量刑において有利な事情として斟酌されるにとどまります。

双方暴行事件で注意すべき点

互いに拳を交わした双方暴行事件では、先に殴られたとしても、応戦して殴り返した行為が防御の範囲を超えて攻撃と評価されると、正当防衛が認められにくくなります。韓国の裁判所は、けんかの最中の加害行為について、正当防衛を非常に限定的にしか認めていません。

したがって双方暴行で立件された場合には、一方的に暴行を受けながら消極的に防御したものなのか、暴行の程度や経緯がどのようなものだったのかを、具体的な証拠で立証することが重要です。CCTVの映像、目撃者の供述、診断書などを初期段階で確保しておく必要があります。

刑事専門弁護士の助力が必要な理由

暴行事件は、事実関係が似て見えても、有形力行使の程度、危険な物にあたるかどうか、傷害が発生したかどうかによって、適用される法条と処罰の重さが大きく変わります。さらに反意思不罰罪にあたるかどうかによって示談の戦略も全く異なってくるため、事件の初期段階で刑事専門弁護士の法律相談を受け、対応の方向性を定めることが最も重要です。