
傷害罪
傷害罪は刑法第257条、第258条で定義されています。
第257条(傷害、 尊属傷害) ①人の身体を傷害した者は7年以下の懲役、 10年以下の資格停止または1千万ウォン以下の罰金に処する。 <改正 1995. 12. 29.>
②自己または配偶者の直系尊属に対して第1項の罪を犯したときは10年以下の懲役または1千500万ウォン以下の罰金に処する。 <改正 1995. 12. 29.>
③前2項の未遂犯は処罰する。
第258条(重傷害、 尊属重傷害) ①人の身体を傷害し生命に対する危険を発生させた者は1年以上10年以下の懲役に処する。
②身体の傷害により不具または不治もしくは難治の疾病に至らせた者も前項の刑と同じとする。
③自己または配偶者の直系尊属に対して前2項の罪を犯したときは2年以上15年以下の懲役に処する。 <改正 2016. 1. 6.>
傷害罪における傷害
傷害罪における傷害の定義については学説上の対立があります。 一つ目は身体の完全性を侵害する場合があり、 二つ目は生理的機能に障害を与える場合があります。 大法院の判例によれば、この二つの場合のいずれも考慮するものと見られます。
傷害罪における傷害とは、被害者の身体の完全性を毀損し、または生理的機能に障害を生じさせることを意味する。
(大法院 2020. 8. 20. 宣告 2020도5493 判決)
特殊傷害
特殊傷害は刑法第258条の2で定義されています
第258条の2(特殊傷害) ① 団体もしくは多衆の威力を示し、または危険な物を携帯して第257条第1項または第2項の罪を犯したときは1年以上10年以下の懲役に処する。
② 団体もしくは多衆の威力を示し、または危険な物を携帯して第258条の罪を犯したときは2年以上20年以下の懲役に処する。
③ 第1項の未遂犯は処罰する。
つまり、 団体もしくは多衆の威力を示し、または危険な物を携帯して傷害罪を犯した場合には特殊傷害が成立します。
特殊傷害の成立要件
特殊傷害罪の成立要件は傷害の成立要件、 危険な物に該当するかどうか、あるいは団体もしくは多衆の威力を示す場合です。
傷害の成立要件
傷害罪の成立要件は以下のとおりです。
- 人の身体
人の身体とは、生きている人を対象とします。したがって動物を傷つけても傷害罪は適用されず、胎児の場合は人と判断する基準に従って適用されます。
人の生命と身体の安全を保護法益とする刑法の解釈としては、規則的な陣痛を伴いながら分娩が開始したとき(いわゆる陣痛説または分娩開始説)が人の始期であると見るのが妥当である。
(大法院 2007. 6. 29. 宣告 2005도3832 判決) - 身体の完全性を毀損し、または生理的機能に障害を生じさせること
傷害罪の成立には、傷害の故意と身体の完全性を害する行為、およびこれにより発生する因果関係のある傷害の結果がなければならないので、傷害罪においては身体の完全性を害する行為とそれによる傷害の部位および程度が証拠によって明白に確定されなければならず、傷害部位の判示のない傷害罪の認定は違法である。
(大法院 1982. 12. 28. 宣告 82도2588 判決) - 傷害の方法としては有形的方法のみならず無形的方法も含む
長時間にわたる脅迫と暴行に耐えられず失神し、犯人らが呼んだ救急車の中でようやく意識を取り戻したのであれば、外部的に何らかの傷が生じなかったとしても、生理的機能に毀損を受け身体に対する傷害があったと見た事例。
(大法院 1996. 12. 10. 宣告 96도2529 判決)
危険な物に該当するか否か
危険な物に該当するか否かは非常に広範囲に適用されます。 危険な物とは、通常考えられる凶器あるいは鈍器であるナイフ、 のこぎり、 ハンマーだけでなく、日常生活で使用される携帯電話、 箸、 飲み物の瓶なども危険な物として認められることがあります。 ただし、危険な物と判断するかどうかは、その当時の状況を考慮して判断されます
危険な物の判断基準
危険な物の判断基準は
1. 具体的な事案に応じて、社会通念に照らしてその物を使用すれば相手方や第3者がただちに危険性を感じうると認められる物でなければなりません。
2. 危険な物は物体でなければなりません。 つまり、 人の身体の一部は危険な物と判断されません。
3. 危険な物は携帯することができる動産でなければなりません。 つまり、 電柱や塀のような不動産は危険な物と判断されません。
4. 危険な物には、動物または物理的手段のほか化学物質も含まれます。
5. 本来殺傷のために製造された物だけでなく、使用方法上、人を殺傷するのに使用されうる物も危険な物に含まれます。
つまり、 危険な物は使用方法上、人を殺傷することができなければならず、携帯できる物体であり、その物を使用したときに社会通念上、危険性を感じうる状況でなければなりません。
例えば自動車を利用した事件の場合、大きく速度が速ければ危険な物、 小さく速度が遅ければ危険でない物と判断されることもあります。
(大法院 2010도10256 判決) および (大法院 2007도3520 判決)
また、 消火器を投げたものの危険な物として認められなかった場合もあります。
この場合には、消火器を特定の人に向けて投げておらず、被害者が傷害を負わなかった点を考慮して、危険な物ではないと判断されました。
(大法院 2010도930 判決)
団体または多衆の威力を示す場合
団体または多衆の威力を示す場合とは、加害者が複数である場合を意味します。
特殊傷害と特殊暴行
特殊傷害と特殊暴行の違いは、被害者の被害の程度に応じて特殊傷害なのか特殊暴行なのかが決定されます。
特殊暴行罪の量刑は5年以下の懲役または1千万ウォン以下の罰金刑です。
特殊傷害罪は1年以上10年以下の懲役刑のみであるため、事件が特殊傷害として認められるか特殊暴行として認められるかは非常に大きな違いとなるでしょう。
特殊傷害と傷害
特殊傷害と傷害の違いは、危険な物に該当するか否か、あるいは団体または多衆の威力を示す場合の要件を満たしたかどうかです。
団体または多衆の威力を示す場合は大きな争点になりませんが、危険な物に該当するか否かについては、その当時の状況を考慮して判断するため、この部分で弁護士の助けを受けて特殊傷害ではなく傷害として認められれば、量刑を大きく減らすことができます。
傷害罪は罰金刑が可能ですが、特殊傷害は罰金刑がなく懲役刑のみが可能である点でも、これは非常に大きな違いとなるでしょう。
したがって、傷害、 特殊傷害あるいは暴行、 特殊暴行が予想される場合には、刑事専門弁護士との相談を通じて、自分が犯した罪より重い量刑を受けないようにするのがよいでしょう。